日 時 | 2019年2月22日(金) 19:00-20:30 |
スピーカー | 井出和希さん(京都大学) |
場 所 | MTRL KYOTO 2階(アクセス) |
関連資料と当日のメモは以下からご覧ください。
関連資料
学校健診データから将来の健康を考える | K.U.RESEARCH
メモ
当日参加者8名(世話人4名+スピーカー1名含む)
- 学校健診
- 昭和33年から開始
- 紙で記録し、卒業後5年間保存
- 長期的な個人・集団の健康管理や疾病予防には活用されていない現状
- 全国自治体との連携により電子化するプロジェクト
- 全国に1800弱ある自治体のうち、112の自治体と連携
- 各学校を訪ね、その場で情報をスキャンし、OCR等の過程を経てデータベース化
- データの一次利用として、自治体や生徒個人に還元
- 学校健診情報を個人・自治体単位でまとめてレポートとして提供
- 今後はニーズに応じた食事に関するアドバイスなども想定
- 情報の還元は健康に関心を持つきっかけとしても有用であることを示唆
- 一部の自治体では母子との連接も進行中
- スマートフォン等の個人端末で利用可能なアプリケーションによる学校健診データの提供についても試行中
フロアとのディスカッション
- プロジェクトの主体について
- 一般社団法人が主体となり進めている。また、研究については大学が担う。
- どのような人にニーズがあるか
- 子どもの健康状態の変化をわかりやすいレポートを通して知りたいと思う親や健康施策を立案し、その影響を評価したいという自治体からニーズがある。
- 日本の学校健診について
- 学校健診の目的は、児童・生徒が支障なく学校生活を送ることができるように環境を整えると共に、その時点の健康状態をスクリーニングすることである。
- 項目は、身長、体重、視力、尿たんぱく、歯科などである。
- 全国悉皆の学校健診を実施しているのは日本のみであり、世界的に見ても貴重な健康情報である。
- 項目は限られているものの、個人が比較的健康であるときの情報や所見は重要である。
- 海外での健康データの取り扱いについて
- 欧米の一部の国では、個人の健康データがウェブポータルで見られる。
- 健康管理に対する認識の違いや各国の保険制度に基づく病院へのアクセスのしやすさの違いなども影響しているものと考えられる。
- 日本で電子化が進まない理由は?
- 技術的な問題はそれほどない。ただし、個人情報を活用することに対する心理的障壁がある。情報が使われることに対する漠然とした恐怖感があり、対話を進めることも大切である。
- データの利用について
- 健康増進、疾病予防や健康施策の立案に寄与する。
- セルフメディケーションに役立つ。
- オープンデータにするには壁がある。海外でも個人レベルの健康データをオープンにしている例はあまりない。利用をしたいと考える研究者等が申請を行い、審査を経て利用するという形が一般的である。
- 自分で記録をつけられない幼少期の記録の管理は難しい。母子手帳を紛失した場合は予防接種の履歴も分からない。実感として、個人で管理するのはなかなか大変だろう。