日 時 | 2018年11月22日(木) 19:00-20:30 |
スピーカー | 近藤康久さん(総合地球環境学研究所) |
当日のスライドとメモは以下からご覧ください。
スライド
メモ
当日参加者16名(世話人5名+スピーカー1名含む)
- 総合地球環境学研究所(地球研)とは
- 超学際研究が持ち味
- チームサイエンスに取り組む
- 地球研のプロジェクト「オープンチームサイエンス」とは
- オープンサイエンスと超学際研究の方法論融合
- 理論研究、実践研究、科学政策提言まで含む
- 問題理解のずれを乗り越えるには?
- 課題解決には研究者や研究者以外の人など立場の異なる様々な人が関与
- 情報・知識、思想などの非対称性を軽減することが重要
- オープンサイエンスに関して
- オープンサイエンス=パラダイム
- 様々なアクションの集合体(トップダウン(政策)、ボトムアップ(社会の関与))
- 一方で、オープンリサーチデータ実現に対する提供側の不安
- これからの学際研究は「Open by Default」に ex. ビル&メリンダ・ゲイツ財団、Welcome Trust
- FAIRデータの原則
- へだたりを越えてつながることを目指す
- 知識・行動の分化と統合
- 4つのアプローチ(ずらし、倫理的平衡、可視化、対話)
- シビックテックはガバナンスの文脈、オープンサイエンスは科学の文脈
- 実践例(びわ湖の水草問題)
- シビックテックとオープンサイエンスを融合する
- 主体によって問題意識が異なる=水草の意味が異なる
- 市民グループ「チーム水宝山」の結成
- ワークショップで新しい水草活用法を考える(シビックテック)
- 倫理的不衡平に要注意
- 研究機関の謝金基準とビジネスでの相場との間に著しいズレ
- 参加者の労働力や知識・アイディアが搾取されていないか?
- 市民参加の段階
- 市民参加のはしご(Arnstein, 1969)を科学に応用
- シチズンサイエンスについてはHaklay(2013)もある。レベルが上がるほど良いという意味ではない。
- 様々な市民参加型プロジェクトを例に…
- 研究者側から提案するものは何か?
- 市民側から提供するものは何か?
Q&A
- Q.社会問題解決型と基礎サイエンス型のプロジェクトでは性質が異なるのではないか?社会問題解決型は参加の敷居が高く、ある程度のスキルが求められそう。
- A. 確かに異なる。ただし、問題解決型も変わりつつあり、参加の敷居は低くなってきている。
- Q. 社会問題解決型では対峙する相手が多い。コミュニケーションの方法はどのようにして身につけられるか?
- A 個々の事例によって千差万別。オンザジョブトレーニングが有効。
- Q. やりがい搾取を減らすにはどうしたらよい?
- A. 参加者に対して予め十分な説明を行い、インフォームドコンセントをとることはもちろん必要。研究者の中には研究に関わるアウトリーチなどは無償、という意識が強い。しかし、これは他の世界でも当たり前ではないことを知っておくことが重要。
- Q. 研究者は参加者に対して「楽しみを提供している」とよく言う。楽しみを提供していることは本当に実証されているのか?
- A. 一例として、イベント直後にアンケートを実施して確認するということがある。ただし、イベント直後1回きりのアンケートだけでは本当は不十分かもしれない。時間をおいてアンケートを再実施し、ある程度の時間が経っても参加者の楽しさが継続したかを調べることが必要かもしれない。
- Q. 搾取されていることに気がつかないということもありそうだが…?
- A. ある。研究者側はこういった問題を把握することが大事。
- その他にフロアから出た話題
- 基礎サイエンス型の市民科学のプロジェクトでは、研究者は参加者に対してエンターテイメント性のある知識の提供を重視しているように見える。社会的責任など他の知識を伝える必要はないのか?
- 「地域」や「公共」が絡むとやりがい搾取が起こりやすい?
- お金よりも楽しさのほうが重要なのでは?広告業界ではファンをつけることが重要。
- コアなファンがいることは重要だが、だからこそ起こってしまう問題もある。