【レポート】 市民参加型調査「花まるマルハナバチ国勢調査」でできたこと・できなかったこと

日 時 2018年6月29日(金) 19:00-20:30
スピーカー 大野ゆかりさん(東北大学)
場 所 MTRL KYOTO

当日のスライドとメモは以下からご覧ください。

スライド

※公開用に一部割愛されている場合があります。

メモ

当日参加者12名(世話人5名+スピーカー1名含む)

  • 「マルハナバチ国勢調査」とは?
    • マルハナバチの写真を撮って送ってもらう市民参加型調査
    • 投稿された写真は富士通の携帯フォトクラウドサービスを使いウェブ上にアップ
    • マルハナバチは減少傾向にあり、分布調査が必要
  • 「マルハナバチ国勢調査」でできたこと
    • 写真を利用した分布推定
  • マルハナバチとは
    • 日本人にはあまり馴染みがない
    • 日本には16種類(外来種1種を含む)が生息(海外では40~50種!)
    • ハウス栽培でも活躍している
    • オスとメスで色が違うなど(ex. クロマルハナバチ)、種同定が難しい
  • 参加者のモチベーションを高める色々な工夫
    • ネーミング
    • キャラクター
    • Facebookやtwitter
    • ランキング、賞品
    • スマホを持っていない人向けにメールでも投稿できるようにした
  • 成果
    • 2013~2015年で15/16種の写真を3000枚ほど収集
    • 残りの1種についても2016年に収集
    • 6種のデータで分布推定を行い論文化(Suzuki-Ohno et al. 2017, Scientific Reports)
  • 注意点
    • 写真撮影が適している種か
    • 種の同定がしやすい種か
  • なぜ種分布モデルで分布推定をするのか?
    • サンプリングバイアスを軽減するため
    • 保全に生かすため
  • 「マルハナバチ国勢調査」でできなかったこと
    • マネジメントと普及
    • 今までのシステムのサービスが終了。今後のシステムについて検討中。
  • 市民にとってのメリットとは?
    • ①専門家による同定。②専門的な知識。③論文に名前掲載。
    • しかし、これらをメリットと考えるのは実は研究者のエゴではないか。
    • 特に参加者は②、③のメリットにはあまり興味がない印象がある。
  • 市民参加型研究の難しさ
    • 成果が論文になりにくい(学術的ではない、精度が悪いなどの理由で)
    • 論文が出るまで結果を公表することができない
    • 論文は研究者以外は読まない
    • 市民にとっては(論文でなく)ウェブページで成果や保全対策を発表する方がよい
    • ウェブページの更新や広報になかなか時間が割けない…

Q&A

  • Q. 「マルハナバチ国勢調査」をはじめるとき、期間は決めていた?
    • A.  当初は富士通のフォトクラウドサービスの契約期間(3年)としていた。今年度(6年目)でサービスが終了。今後については検討中。
  • Q. 「マルハナバチ国勢調査」のノウハウは他の種にも適用できる?
    • A. 写真投稿型に適している種なら適用できるかもしれない。適していない種だと難しいかもしれない。
  • Q. 収集した写真の精度が良かったのはなぜ?
    • A. マルハナバチの種が日本では16種と限られいて、種を同定している教授(1名)のスキルも高い。市民の方は良い写真を送ってくれるため、種を同定できなかった写真は思っていたよりも少なかった。色々な角度で写真を撮ってもらうよう依頼したこともよかった。
  • Q. 参加者はどんな人?
    • A. 環境保全に興味がある人、昆虫が好きな人、花が好きな人、写真好きな人など。比較的年齢層が高めという印象がある。
  • Q. 参加者について意識したことは?
    • A. 参加者のターゲットを保全に興味がある人にある程度絞るようにした。

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